都人会のご案内

高等工科学校とは?

中学を卒業した15歳~16歳の男子が入学する学校です
学校では一般の高校と同じ国語や数学などの授業が中心に行なわれますが、自衛隊の学校ですので自衛隊の専門的な技術の教育や防衛基礎学などの教育も実施します

一般的な高校との違いは・・・
①高等工科学校は文部科学省管轄の高等学校ではないので、通信制の高校と提携して「高卒」の学歴を取得します
②全寮制で、1部屋数人での生活を送ります。外出と外泊は許可制なので自由に駐屯地の外に出ることはできません
③授業料や食費・寮費は国から支給され、手当てとして毎月10万円弱が支給されます
④高等工科学校卒業後は陸士長に任命され生徒陸曹候補生課程に進み、1年後に三等陸曹に昇任します

区隊
生徒は着校(例年4月1日)すると区隊という単位に別れます
これは一般の高校で言うクラスと同じようなものですが、2年になると区隊と組は別になる場合も出てきます
区隊には区隊長と呼ばれる現役の自衛官(例年では一等陸尉)がおり、各区隊の指揮をとります
区隊には区隊長を補佐する班長と呼ばれる自衛官(陸曹がこの任に着きます)もおり、生徒の生活面での指導や相談に乗ります
また、各区隊には自衛官ではない学級担任も着き勉強面の指導をします
学年は同じでも自分の息子と違う区隊の生徒の保護者と情報交換をしていると、区隊によってかなりの違いがあることが解ります
これは区隊のカラーと言うべき内容で、責任者である区隊長の意向(教育方針)が反映されているケースが多いようです
息子さんが高等工科学校での生活に不安をもっているような事があれば、まず区隊長に連絡をして、話し合うのが一番です

自衛隊の階級と高等工科学校について
自衛隊関係の家庭から高等工科学校に入学する場合には自衛隊の階級について詳しくご存知かと思いますが、関係ない家庭から入学させる場合にはどのような階級を経ていくのかもご存知ないかと思いますので、ここで簡単にご説明します
自衛隊には「士」 「曹」 「尉」 「佐」 「将」という階級があります
高等工科学校の前身となる少年工科学校では「士」の最低ランクである「三等陸士」として入学し、学年を進級するごとに「二等陸士」 「一等陸士」と昇任し、卒業と同時に「陸士長」まで昇任していました
高等工科学校では防衛大学校と同様に「生徒」として入学・在学し、卒業時に「陸士長」に任命され、1年間の教育を経て「曹」ランクの入り口である「三等陸曹」に任命されます
本来であれば「士」の階級から「曹」の階級はエスカレータ式ではなく、選抜試験が行なわれますが高等工科学校卒業者は「生徒陸曹候補生課程」を終了と同時に「三等陸曹」に任命されます
「三等陸曹」任命と同時に日本中の部隊にそれぞれが勤務し、「二等陸曹」「一等陸曹」「陸曹長」と昇任します
「曹」の階級から先も選抜試験を受験し、合格すると「尉官」「佐官」「将官」と昇任し、この3つが幹部自衛官と呼ばれます

卒業後の進路は?
武山駐屯地にある高等工科学校での3年間を終了すると、ほとんどの生徒は陸曹候補生課程に進みますが、一部の生徒は防衛大学校や航空学生を受験し、合格者はそれぞれ別々の進路に進みます
防衛大学校卒業後は「陸海空曹長」に任命され、各幹候補生学校に入校して幹部自衛官となります
航空学生卒業後は海空のパイロットとして活躍することになります
陸上自衛隊でパイロットになるには三等陸曹として任命されてから一年以上経過すると受験資格が得られる「陸曹航空操縦学生」として航空学校宇都宮校に入校する必要があります
高等工科学校卒業後に「航空科」に進む生徒が居ますが、航空科に進むことがパイロットになることを意味しているわけではありません
また「陸曹航空操縦学生」は「航空科」のみから選抜が行なわれるわけではなく、すべての職域から受験が可能になっています
航空学生および陸曹航空操縦学生はいずれも卒業と同時に幹部として任用され、幹部自衛官となります

非常に複雑な気がしますが、本人の努力によってあらゆる進路が用意されているという点において、自衛隊という組織は非常に素晴らしいと思います


高等工科学校をある視点で見てみると・・・
生徒の数から考えると大人の数がとても多い学校です
班長・区隊長・教育隊長・教科担任など・・・
校長は陸将補、教育隊長は佐官、区隊長は一等陸尉という事で、一般の部隊では考えられないぐらい優秀な人材が教育に携わっています
勉強を教える教官も優秀な方が多いようです
経歴も様々で、少年工科学校を卒業後に一般部隊で勤務しながら幹部になった方、少年工科学校を卒業して防衛大学校に進学して幹部になった方、二等陸士から入隊して幹部になった方、一般大学から自衛隊に入隊して幹部になった方・・・
様々な方が情熱を持って生徒たちの教育に尽力されています
また班長も優秀な方が多く、生徒達の兄貴分としてうまくリードしてくださっています
通常の学校との最大の違いは、一般の高校の場合には教え子が自分の部下にはなりませんが、高等工科学校の場合には既に同じ組織の一員であり、部下であるという点です